LED 激安の情景
費用のことはひとまず棚上げして、私たちはまず「耐震補強だけで住宅の耐震性は十分なのか」というのを繰り返さなければならない最も望ましい「地震に強い家」の姿を見いだすことから出発してみたいのである。
耐震補強のAからFのどれが重要でどれが重要でないということは言えないが、Aの「地盤.基礎」は後から補強が難しく、費用もかさむということは言えるのである。
次に老朽度を見てみよう。
老朽度の最高評点は「健全」が1.0、「老朽化している」が0.の敷居や壁面、床面の傾斜、床鳴り、梁のたわみ、基礎の亀裂の有無といったことである。
またロアリの成虫が浴室から飛び出すといったことが基準になっている。
補強工事は腐朽や蟻害の場所にもよるが、しばしば見られる土台や柱下が傷んでいる場合には柱.土台の付け替えや付け足しを行わなければならない。
これも補強としては高額の部類に属する工事である。
つまり、「地盤.基礎」や「老朽度」を改善せずに、「筋かい、壁の割合」あるいは「壁のバランス」の値を上げるという方法が一般的に行われているのは、とりもなおさず費用が大きなネックになっているということなのである。
補強費用に2の枠がある以上、枠内で「凶器になる家」の危険域を脱却するために、比較的費用がかからない「筋かい、壁の割合」と「壁のバランス」を改善する特に「筋かい、壁の割合」を改善することで「地盤.基礎」「老朽度」のマイナスを補う。
こうしたことが「一応安全」の「一応」の背景に潜んでいると考えられるのではないだろうか。
もうひとつ、耐震診断について重要なことを付け加えておきたい。
2OO4年夏の改訂前の項目があることだ。
部分的に欠損がある場合、特に接合部における大きな切り欠きがある場合接合部分に問題がある場合。
特に釘を含む金物を使っていない場合老朽している場合、特に折損(折れて壊れること)、腐れ、蟻害、過大な移動.変形がある場合これらは2~3時間程度の調査で診断することが難しいためだろう阪神・淡路大震災では勘案されてこなかったこれらが、被害に極めて大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。
特に重要なのであった。
筋かいイコール安全というのは壁の耐震力としては正しかったが、家全体の安全という点では不十分であったことになる。
教訓から、新・新耐震では基礎から立ち上がったアンカーと柱をホールダウン金物でしっかりと固定することで、柱の引き抜きを基礎の力で抑えることが決められたのである。
従来の耐震診断の評価には、大きな欠落があったと言わざるを得ないのだ。
最高の補強震建替えであるように見てくると、「耐震補強による耐震性向上」を「安心して住める家」にするための唯一の手段と考えるのは、無理があると考えざるを得ないのだ。
本当の意味で「家族を家で殺さない」「家族の暮らしを守る強い家づくり」を求めるならば、目指すべきは当然、評点1.5以上の「安全」であろう。
「一応安全」は、様々な理由から今の家に当面は住み続けなければならない人たちの住環境を少しでも安全なものにするための「経過措置」とでも位置付けるべきなのではないか。
評点1.5以上を目指すということは、すべての家の耐震性を2000年の新.新耐震基準にまで引き上げるということにほかならない。
これまで様々なデータから分析してきたように、旧耐震基準で立てられた家の大多数については、耐震補強では根本的な解決を図れない可能性が高いのである新築建て替えをすれば現在の建築基準法に沿って「一応安全」ではなくまた、新耐震基準で建てられた家については、阪神・淡路大震災によって浮かび上がった耐震性の問題を中心に、「地盤・基礎」「筋かい、壁の割合」「壁のバランス」「老朽度」を診断し、個々の家の状況に応じて耐震補強で対応するか、新築建て替えで対応するかを決めればよいだろう。
時期の家はそろそろ寿命を迎える家もあれば、まだしばらく余裕のある家もある状況だいずれにしても、新築建て替えと補強を住宅耐震化の両輪として考えていけば、すべての家を間違いなく新.新耐震基準にすることができる。
これが、経済問題を棚上げして考えたときの私たちの結論である。
基づくデータで分析を行ってきた。
阪神・淡路大震災後の研究成果を盛り込んだ新しい診断方法.基準には、床面積当たりの必要耐力、建物の重さ、一階が鉄骨造で2階が木造といったケースでの耐力計算、柱の接合部の耐力計算、多雪地区の場合や地域格差、詳細な劣化度の判定などが持ち込まれ、厳密な判定ができるようになったこれにより、ここまで述べてきた結果とは若干の差異が出てくる可能性がある。
新旧基準によるデータ比較ができる段階ではまだないが、旧耐震の家は新築建て替え、新耐震の家は新築建て替えか補強を選択する、という結論は変わらないだろう。
なぜならば、より厳密な診断が行われることで、より旧耐震基準の家の新築建て替えの必要性は明確になってくると考えられるからだ。
上の写真をごらんいただきたい。
新潟県中越地震直後に被災地に入ったチームが出合った隣り合う2軒の家である。
手前の家は無惨にも崩壊してしまったが、奥の家は見事に残っている。
具体的な築年数はわからないが、建築時期が大きく異なることは明らかだった。
ひとつはすでに述べたように新潟県中越地震の実態を見てきたことであった正確にはそれ以前からすでに生まれていたのである。
阪神・淡路大震災や他の震災の資料はたくさんある。
地震大国.日本では実に多くの人が地震にどう対応していくかという研究を続けてきた。
誰もが日本の住宅を地震に強くするには耐震診断.耐震補強をいかに広めることが大切かということ訴えてきた。
すべての人が家の安全性を真剣に考え、工務店や建築士が生き残りを賭けて耐震診断を進めていけば確かに耐震診断.耐震補強が進むことは間違いない。
これについては今でも異論はない。
人の命を救うために使命感を持って進めている人たちには頭が下がるが、既存不適格住宅115O万戸という現実を解決するには限界がありはしないか。
使命感だけに依存するのではなく、経済合理性があり、住む人も工務店.建築士側もともに進めたくなる方針はないものだろうか。
これがあるときにふと生まれた思いだった。
耐震診断.補強を迅速に進めるには、住む人や工務店・建築士がもっと震災にリアリティをもたなければならないと言われている本当にことで住宅の耐震化は格段に進むのか。
切迫感がないからといって、リアリティを感じてもらおうとしても限界がありはしないか。
阪神・淡路大震災ではあれだけの被害があり、身近な人がたくさん亡くなった兵庫県南部、たとえば神戸市の住宅はすべて大きな地震に耐えられるようになっているだろうか。
直後の混乱した時期は、何が何でも住むところを確保し、生活を建て直すことが最重要課題だったからじっくり時間をかけて耐震構造の家をつくるというわけにはいかなかったに違いない10年が経ってどうなっているのだろうか。
私たちが神戸で聞いたのは、あの悲劇を2度と繰り返してはいけない、風化させてはいけない、阪神・淡路大震災は終わっていないという声だった。
「子どもたちには今もPTSD(心的外傷後ストレス障害)があるそうですね」と聞いたことのあるような言葉に対し、しばらくしてからよ」という答えが返ってきてどきっとした。
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